対談 〜『人間力』のある人材の育成〜 魅力ある大学を目指して

少子化の流れが止まらず、大学を取り巻く環境は厳しさを増すばかりです。
そうした中、本学は大学の“今”を直視し、夢と魅力に満ちたキャンパスの創造へ向け、
全学を挙げて大学の再構築に取り組んでいます。
少子化とグローバル化という時代のうねりの中で、これからの本学はどうあるべきか─。
改革の先頭に立つ木村清孝学長と前田伸子副学長に語っていただきました。

 

木村清孝学長

 
 

─学長に就任されて、ほぼ一年が経ちました。今の率直な感想はいかがですか
木村 多忙な一年でしたが、本学の特徴とも言うべき素晴らしい点や改善が必要な点など、いろいろなことがやっと分かってきました。
 とにかく、昨今は少子化の影響で、多くの大学が学生の確保に四苦八苦です。そうした厳しい現状を前に、鶴見大学のさらなる魅力アップのために、改革を急がなければいけないと、心を引き締めているところです。
─学内から鶴見大学をご覧になった印象は?
木村 まず曹洞宗の大本山・總持寺が創立した大学だけに、建学の理念が明確です。そして仏教、特に禅の教えに基づき、こころ豊かな人材を育成するための人間教育がしっかり行われている。これは素晴らしいことです。
 また、本学は理系の歯学部と文学部、短期大学部で構成されています。組み合わせがユニークなうえに、それぞれが同じキャンパス内で近接し合っている。この特性を生かして“歯・文・短”の連携を強め、有機的に結びつける方策を実践していけば、本学をより活力のある大学に変革できるのではないかと考えています。

 
 

「総持学園」を挙げて、再構築に取り組む

 
 

─学長は大学報1月号の中で、今年を「新体制元年」と位置づけ、改革に強い意欲を示されています。鶴見大学の何を、どのように変えたいとお考えなのでしょうか。
木村 その前に一言申し上げておくと、現在、学校法人総持学園では、附属の中学・高校・幼稚園も含め、学園全体の再構築プロジェクトが進行中です。従って、大学や短期大学部の改革も、あくまでもその一環なのです。
 このプロジェクトでは、再構築小委員会の下に、3つのワーキンググループが設置され、学園の理念や使命、教育・研究システム・施設・設備の充実、社会貢献と地域連携など、様々な分野にわたって検討が進められています。
前田 ちょっと補足しますと、ワーキンググループのうち、主に学園の基本問題を検討する第1グループの座長を学長先生が、そして教育・研究システムを検討する第2グループと、社会貢献・地域連携を検討する第3グループの長を副学長の私がつとめております。
─ワーキンググループでは、具体的にどのようなことが検討されているのですか。
木村 現実的には、沢山の受験生が集ってくれる教育環境作りです。また、現行の学部学科の改組を含めた検証と整備ですね。それと、教職員・学生が共有する建学の精神の意味を時代に即応した解釈で要約することも大切なことだと思います。
 つまり、本学には禅の教えに基づく「大覚円成」「報恩行持」という立派な建学の理念がありますが、言葉が難し過ぎて、今の学生にはなかなか理解し難いようです。そこで、もっと現代風に言い換え、簡明で親しみやすい表現にできないものかと、そんなことも検討しています。
前田 今、いくつかの候補を考えています。その中から、学生や生徒の皆さんからの意見を聞いて、分かりやすいキャッチコピーを決めたいと思っています。
木村 縁あって総持学園に入学した学生や生徒の皆さんが、ひかり輝くような人間に成長して欲しいとの願いを込めた、そんな素晴しい表現ができることを期待いたします。

 
 

強い『人間力』を養う教育を推進

 
 

─さて、総持学園全体で再構築の取り組みが進んでいるわけですが、そうした中で、大学サイドとしては、さらなる魅力づくりのために、どのような方策を講じていくお考えですか。
木村 一つは禅の教えに基づき、こころ豊かで、知育に優れた人材を育てる人間教育。あるいは、もっと進めて、社会の荒波の中でも、たくましく生きていける『人間力』を養う教育。そんな教育を鶴見大学の特色とし、徹底を図っていきたいと考えています。
前田 それと今は世界的な不況のあおりを受けて、大変な就職難の時代です。そこで学生の就職活動を支援するため、就職活動に必要な様々なスキルなどを教えるキャリア教育にも、より一層力を注ぐ方針です。
木村 今後、学生支援の一環として、就職活動に取り組む学生にとって大きな力となるような「キャリア教育センター」や、さらに将来的にはキャリア教育だけにとどまらず、真に『人間力』のある人材を育成するための総合教育の場となる「教育・教養センター」のようなものの検討をはじめています。
前田 先生、それは素晴らしい構想ですね。それらが実現すれば、鶴見大学にまた一つ、新しい魅力が加わります。

─鶴見大学は大都会の中にありながら、豊かな自然に囲まれ、教育環境は申し分がありません。学生たちは日々、落ち着いた学修環境の中で、勉学や課外活動に励んでいるわけですが、施設や設備の面で改善すべき点はありますか。
前田 緑に恵まれ、静かで、交通の便も良い。立派な図書館や記念館などもあり、本学のキャンパスが大変に居心地が良いのは確かです。
 その環境を今後、より一層、学生たちがくつろげる場や、グループで学習できる場など、キャンパスライフが伸び伸びと、楽しいものになるよう、改善したいと考えています。
木村 学生たちがグループで、楽しく学習できる場を増やすため、施設の改造が一部必要かもしれません。この点も今、検討を進めているところです。

 
 

前田伸子副学長

 
 

国際交流

 
 

─昨今はグローバル化の流れが加速し、世界で活躍できる人材の育成も重要になっています。国際交流の推進については、どのようにお考えですか。
木村 本学では国際化時代に対応するため、歯学部、文学部を中心に、学生の海外研修や姉妹校提携による相互交流など、早くから国際交流に積極的に取り組んでいます。
 昨春は文学部で初の長期留学制度がスタートし、3人の男女学生がカナダのリジャイナ大学に留学しました。
 国際交流は、これまでは学部ごとに別々に行われてきましたが、今後は全学的な取り組みに一本化したいと考えています。その第一歩として、4月には国際交流センターを立ち上げる予定です。
前田 この2月からUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の要請を受け、歯学部附属病院で日本在住の難民の皆さんを対象にした口腔の診療活動がスタートしました。
 歯学部の先生の協力により、口腔内の検査と歯の治療を行っています。形は違いますが、こうしたボランティア活動も国際交流の一つと言ってよいのではないでしょうか。
木村 そうですよね。歯学部を持つ本学の特色を生かして、難民救済のお手伝いをする。学術面だけでなく、今後はこうした社会貢献的な分野での国際交流もより重要になってくると思います。
─最近は不況の影響でリストラなどが広がり、経済的理由で学業の継続や大学進学が困難になる学生が増えています。鶴見大学の奨学金制度はどうなっていますか。
木村 公的なものを含め、本学独自の奨学制度もいろいろありますが、今年から文学部で新たに特別な奨学制度を伴う選抜入試がスタートしました。他に、歯学部、短期大学部の新入生特待奨学生制度や、歯学部の教育充実費分納入制度は従来からあります。また、入学後に対象となる家計急変者などの学業継続を支援する奨学制度もあります。
前田 文学部(日本文学科、英語英米文学科、文化財学科、ドキュメンテーション学科)の新しい奨学制度は、入試の成績が優秀な学生の入学金を除く学納金(授業料・施設維持費)の全額・半額を免除する制度で、原則として4年間継続されます。
─キャンパスライフの楽しみの一つに、クラブやサークルなどの課外活動があります。大学の支援体制を含めて、課外活動の現状はどうなっていますか。
前田 課外活動への参加状況は、各学部学科によって異なりますが、約半数の学生が参加しキャンパスライフを楽しんでいるように思います。ただ、学科によっては、勉学に追われ活動しづらいところもありますが、課外活動に積極的に参加し、他学科との交流を深めてほしいと思います。そのためのクラブ・サークルの再活性化に向けて、大学としてもサポート体制を強化するつもりです。
木村 クラブやサークル、ボランティアなどの課外活動には、学部・学科の枠を超えて幅広い交流ができたり、同じ目標に向って、皆で頑張ったりと、メリットが多くあります。その意味では、本学が掲げる『人間力』養成のためにも、極めて大切な場です。

 
 

人気の「学長ポスト」 学生の声で進む改善

 
 

─ところで、学内の声を広く吸い上げるため、学長が昨年の就任時に約束した「学長ポスト」が早速、設置されたそうですね。反響はいかがですか。
木村 学内の2カ所に設置しましたが、多い月には投稿が10通以上ありました。建設的な意見や提案が多く、大変参考になっています。
前田 学長ポストがきっかけで、学生食堂に電子レンジを設置したり、メニューを一部変更するなど、改善に結びついたものがいくつもあります。
 寄せられた意見には、学長先生自らが回答を書き、ポスト横に張り出します。こうした双方向の姿勢が受け、学長ポストは好評です。
─もう一つの検討案件であった全学共通の魅力的な授業の創設は、どうなりましたか。
木村 学園の再構築小委員会の中で検討中です。学部・学科の枠を超え、学生が自由に受講できる授業の創設は、本学の魅力づくりに欠かせません。じっくり検討し、ぜひ実現したいと考えています。

─話は変わりますが、この4月から神奈川県の受動喫煙防止条例が施行されます。大学として、タバコへの対応はどうなっていますか。
前田 現在キャンパス内は分煙です。施設(建物)内は原則禁煙で、野外に数カ所、喫煙場所を設けていますが、4月からの県条例の施行に伴い、本学ではその趣旨に沿った対応を検討しています。
木村 本学では3年ほど前から愛情卒煙≠フ運動を推進中です。これはタバコもしっかり卒業しよう、という運動で、歯学部附属病院の内科の先生の協力を得て、禁煙相談や禁煙のための処方、治療などを無料で実施しています。さらに、今回の県条例の施行を受けて、全教職員並びに全学生に向けて『3月卒煙』への協力を呼びかける文書を出しました。
 クリーンなキャンパスになるよう願っています。

─さて、最後にお二人から、在学生や新入生に向けて、熱いメッセージをお願いします
前田 私はここの歯学部のOBですが、卒業して初めて母校の魅力に気づきました。何よりもまず素直な学生が多いこと。そして学生と教員の距離が近く、学内の雰囲気がとてもアットホームです。こんな素敵な鶴見大学で学べる皆さんは、本当に幸せです。
木村 学園の再構築の旗の下、今後も夢と魅力に満ちたキャンパスづくりに邁進します。とりわけ、『人間力』の教育において他のどこにも負けない大学を目指し、その実現に向けて全学一丸となって頑張りましょう。

 
 

 

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